第10回かちぞうzemi★中間報告会を開催しました!<2024年10月19日(土)>
2024.10.27(Sun)
2024年10月19日(土)に第10回産学連携かちぞうゼミの中間報告会が龍谷大学深草キャンパス(22号館101)で開催されました。
当日は、13:40分に会場に全員集合。その内訳は、学生83名、教員5名、事業者さまやご来賓18名、それにそばくりラボの理事や事務局長の2名の総勢108名が揃いました。
その後14:00から17:40まで途中休憩を含めて4時間弱、5大学10グループによる課題発見・解決活動の成果や今後の課題について熱い報告が続きました。各チームの持ち時間は19分。10分以内のプレゼンの後、他ゼミ生からの質問や感想、事業者や教員からの質問やコメントや助言が続き、あっという間にこの第一部は終了しました。
以下、第一部を振り返ります。
- 在間ゼミ×グランディーユでは、スタッフが頑張っていることを見える化することで利用者増につなげるという課題に対して、ゼミ生がレゾナンスやイリゼの現場に赴きながらSNSの分析や投稿回数の増加に取り組むことで利用者増に繋げる案を提案した。今後事業者が主催するランチ交流会にも参加できるチャンスを得たことから、この場をどのように活用しユニークな提案につなげるか楽しみである。
- 江島ゼミA×ゆいまーるクラブでは、過去50年間の住宅事情の歴史を踏まえてこれからの住宅のあり方を構想してほしいというお題であった。江島ゼミAチームは、祖父母の家と自分たちの実家の比較を通じて住宅の何が変わったのかを分析しながら、これからの住宅のあり方を考える上で避けて通れない社会課題が空き家問題であることをスタートに地方創生型集合住宅というユニークな提案を行った。今後はモデル地域を探索しながら提案の具体的内容の深掘りまで踏み込んでほしい。
- 秋庭ゼミA×三和建設では、採用ブランディングを一緒に創るというお題に取り組んだ報告がなされた。就活生が想起する建設業界に対するイメージを刷新しながら、大学生と建設業とのマッチングをはかる第一歩として秋庭ゼミAが主張したのは、親子ものづくり教室、オリジナル傘のレンタルサービスというユニークな提案である。また大学3回生向けの企業説明会などのチラシデザインやSNS(インスタ)の工夫についても検討中である。事業者にとって採用活動は核になるものであり、学生ならではのユニークな提案を期待する。
- 後藤ゼミA×エイトレントでは、働きたいオフィスづくりに向けたアンケート調査やコクヨ企業見学を通じて、オフィスに対する理想と現実のギャップの存在を指摘した。オフィスの理想は、おしゃれで席の移動が自由でコミュニケーションが円滑な場と考えがちであるが、アンケート結果からはこういうオフィス観に抵抗感を感じる社員の存在も明らかになった。各企業がもつ企業文化がオフィスレイアウトに反映している可能性もあり、そのオフィスの目的が何か(効率重視VS創造性重視)によっても左右される。調査のし甲斐のあるテーマでありさらに深い分析をしてほしい。
- 横山ゼミA×名声高橋美術では、ごみ問題という社会課題の解決を通じてありがとうの循環を目指すというテーマについて、調査報告と今後の提案活動案についてプレゼンが行われた。多様なステイクホルダーが協力しながらゴミ問題という社会課題を解決することにより多様なステイクホルダー間にWIN-WIN-WINの関係が生まれる仕組みを考えてほしいというのが事業者からの課題であるが、最初に調査対象にした城崎温泉や黒壁スクエアでは残念ながら思い通りの結果をえることができなかった。今後は、きんちゃく型ゴミ袋(ふろしき仕様)、マイボトル、花を咲かせる紙袋などの案を具体的提案までに落とし込むことになるが、関わる全てのステイクホルダーにとって有益である解決策の提示を期待している。
- 在間ゼミB×フォーシックスでは、イーデリをアップデートしながら長い目で広げていく方法を考えてほしいというのが課題であった。ゼミ生からは、募金箱の設置、イーデリ直結のメニュー開発などの提案があったが、素朴なアイデア提示を越えて具体的な事業モデルにまで昇華していくためには、さらにもう一歩踏み込んだ調査や分析が必要である。経済性と社会性を両立させるような社会貢献型事業プランとして教員からもTable for Twoのケース紹介があったが、他領域の事例も検討しながら面白い提案につなげてほしい。
- 江島ゼミB×三嶋商事では、ルートセールスの新卒応募者の増加に繋がる提案をしてほしいというのが事業者からのお題である。お題提示の背景には、ルートセールスの応募者がなかなか確保できないという現実がある。このお題に対して江島ゼミがトライしたのは、同じ大学の他学部学生とのコラボを通じてメタバース空間の活用を通じて介護食業界への関心を高めるという方法である。メタバースに関する知識とノウハウを有する情報理工系の学部学生に協力を仰ぎながら、課題解決策を模索するという道は非常に面白く今後さらに関係を深めてほしい。
- 秋庭ゼミ×IKIGAIWORKSでは、84%の回答者が中小企業に対して良いイメージをもっていないことを前提に、中小企業がアピールしている良さが学生には刺さっていないというギャップをどのようにして解消するかがお題である。秋庭ゼミ生は、生きがい企業と接点を持てる名古屋のイベントに参加しながら、中小企業に対して抱くイメージと現実とのギャップを感じながらも、イベント参加を通じて多くの中小企業が福利厚生制度にも厚く勤務時間も予想とは違っていたそうである。今後は最終報告にむけて生きがい企業のギャップ解消策を分析してほしい。
- 後藤ゼミB×コンピュター技研では、就職活動以外の場面で若者と社会の接点を提供するatteyaaを紹介しながら、就活に際して重視する内容についてアンケート調査(回答数150名)を行っている。その結果、第一に重視するのは福利厚生であり、第二は人間関係という結果であった。さらに大学時代に頑張ったことを重視するガクチカ志向も顕著である。今後は、就活しない就活や面接なしの就活などをサポートするatteyaaなどの情報サイトについて学生目線での評価や今後の就活サイトのあり方などを分析してほしい。
- 横山ゼミB×ベルでは、企業と学生をつなぐ“アレ”を創ろうというお題のもと、ワクワクするようなコミュニティづくりを目指した提案が報告された。関西企業5社の協力のもと学生と企業との交流のプラットフォームづくりを試行しているが、単なる就活イベントに終わらずどこまで学生と企業が協働しながら新しい価値を生み出していくことができるかが今後の課題でもある。
第二部は、大学生・大人がシャッフルしたごちゃまぜ状態で、20チームにわかれて、これまでの活動や第一部を振り返り、50分たっぷりと対話をしました。他大学の学生さんや事業者さまと濃密に対話ができたようで,大好評の時間となりました。
第10回目を迎えたかちぞうゼミであるが、中間報告の内容を聞く限り、参加する事業者の期待も年を追うごとに高くなっていると感じます。採用ブランディングの悩み、新卒ルートセールス採用の悩み、新しい就活の仕方、企業と学生のワクワクコミュニティなど、事業者が新規採用に関わるヒントを期待していると感じます。また今後のオフィスづくり、未来の住宅のあり方、障がい者就労事業所の利用者増、イーデリの普及など本業そのものの未来のあり方について、若い世代の斬新な感覚を求めていることも再認識できました。さらに社会課題の解決に向けたセクター間の協働という、かちぞうゼミの原点に関わる提案を考えてほしいという事業者もあり、各事業者の高い本気度を身にしみて感じる一日でした。
また参加する学生についても、理想と現実の狭間で「こんなはずではなかった」ともがき苦しみながら事業者の期待に応えるために奔放する様子がプレゼンからも伺えました。中間報告会での報告とコメントを受け、さらに他のチームの報告を聞くことで、最終報告会では、一皮剥けた提案内容までレベルアップすることを期待しています。
最後に多忙なスケジュールの中、長時間にわたり中間報告会に熱心に参加して頂いた事業者さま、各ゼミの担当の先生、会場準備や運営を一手に引き受けていただいた秋庭先生とゼミ生に感謝いたします。お疲れ様でした。
漫才コンビのような、巧みな司会を展開した、秋庭セミのお二人と秋庭先生
執筆:かちぞうゼミ会長 佐々木利廣